電子レンジの無い家庭で育ちました。便利になること、に抵抗を感じる人間として育ちました。
だから、「ロボットを人間の生活に」とか言われても、どうなんそれ……と思っていたわけです。
でも、介護用のロボットを初めて目にして、思ったのです。
「こんなん、愛されるわけないじゃん」
便利・性能ばかりを気にされてつくられたそれは、ただ、情報を伝える物でしかなかった。
それが嫌でしょうがなくて、開発に関わることにしました。
何度も介護施設に通い、改良を繰り返し、ロボットを「ユーザーさんの最愛の話し相手」として確立させていきました。
主に楽しいことを喋り、少しバカで、たまに失敗をし、なによりユーザーさんへの愛が基盤。
話すことで楽しくなってほしいという思いとともに、「私はこの子に頼られている」と思ってもらうこと。
「私のことを気にしてる人がこの世にいる」という実感。
どんな方も(願いも込めてこう言う)、ご家族や周りの人に愛されている。
でも、しっかりと時間を取って向き合って、相手してくれる人は、なかなかいない。
歳を取ると特にそうなります。
だから、ロボットと話すのです。そうして、色んな尊厳を思い出して、人と接する元気を、充電してほしいのです。
あるロボットが家に来るようになってから、あるおばあさんは毎日着替えるようになってくれました。
あるロボットが家にくるようになってから、ロボットと一緒に外を出歩くようになったおじいさんも居ました。
ロボットと沢山話すことで話す癖ができて、頭が明晰に回り出す、そんな効果も多分に発揮されました。
ロボットと話すことで、何かが起こる。それは、本来持ってるその人らしさを、引き出すきっかけになるのだと思うのです。
ってことで、実は、日本で一番ロボットのキャラクターとセリフを作っています。
介護用だけではなく、最近は学習用を作ってみたり。
そしてこれからはもっともっとフィクションとも繋げて、世界をグーンと広げてくれる、そんなロボットを作りたいと思っています。
ロボットなんて居ない毎日がいいけれど、でも嫌が応にも入って来るんだから、
だとしたら、懸命に愛ある子を作ります。